資産活用  >   2001.07

天気予報と株価

自然現象と株価は密接な関係がある !? 科学的データに基づきつつその真相をお教えします。

■経済活動と気象は密接な関係にある

manet image 気温が18度になると涼しさを感じさせるガラス食器がよく売れる。19度になると半袖シャツが売れる。エアコンは20度から、ビールは22度から、スイカは27度、かき氷は30度になると、それぞれよく売れ始める。一方、気温が低くなった場合はどうか。14度だとスキヤキが、12度だとおでん、9度だと湯豆腐がとたんに食べたくなる――気温と各商品の売れ筋を調べると、このような相関関係がある――(『産業と気象のABC』朝倉正・編著より)。

これらのケースを見るまでもなく、私たちの日常行動や経済活動と気象は密接な関係にある。例えば、アメリカの全業種の60%を対象にしたある調査では、年間の平均気温がわずか一度だけ下がっただけで、約70億ドルの減収になるという結果がでたこともある。1998年の米商務省は、国内総生産の約11%のビジネスが天候の影響を受けていると発表した。

そのため、天候の影響をもっとも受けるのは商品先物取引であることから、アメリカでは、「天候デリバティブ」という、思わぬ天候の変動(天候不順や異常気象)によって、売上の減少や価格の変動などで収益の減少というリスクを回避し、収益安定化させることを狙ったデリバティブが生まれている。

■夏の気象がバロメーターになる

なかでも夏の気候は経済に多大な影響を及ぼすことが、各種の経済研究所による試算でわかっている。気象庁も天候が経済に与える影響を過去に調査したことがあるほどで、例えば、月間の平均気温が1度上昇すると個人消費は0.6%〜0.7%、国内総生産は0.3%〜0.4%上昇するというのが気象業界の定説だ。

例えば、気象年鑑によると、記録的な大冷夏となった1993年は、冷害によって凶作になり、エアコンの出荷台数(8月)が1992年の8月と比較すると、売上が93%も減少したり、ビールや清涼飲料水の売れ行き不振によって、缶の原料であるアルミの生産に多大な影響を与えたりした。その一方では、冷夏のために風邪を引く人が多くなって風邪薬が売れたり、スイカやアイスクリームが売れるかわりに、インスタントラーメンやスナック菓子、チョコレートなどが売れたりした。

■天候は投資家心理を微妙に左右する

株価でいえば、1993年の大冷夏は、家電や小売業界、飲料業界、アルミなどの業界へマイナス面の影響をもたらしたと記録されている。酷暑や大冷夏などの異常気象が株価に影響する場合には、マイナス面の影響をもたらすそうである。また、証券マンの話では、投資家の心理は株価に微妙に影響するが、一般にくっきりと晴れた好天の日には投資マインドは強気に、悪天候の場合は投資マインドは弱気にふれるといわれている。株価の乱高下は企業業績にもっとも左右されるのは当然だが、その日の気候も投資家の深層心理に何らかの影響を与えていることは間違いない。

そうしたことから、企業経営者や部門の責任者は、気象と経済活動との関連性を徹底的に調査し、気象情報をあらゆる企業の戦略情報として活用することが重要になってくる。“たかが天気予報”と侮ってしまうと、その重要性を見失い、企業経営の重要な要素である株価などに大きな支障をきたしてしまうことになりかねない。

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